伝統を超える新しい挑戦  十四代 今泉今右衛門

佐賀県有田町は、400年前日本で初めて磁器の精製に成功し、世界を席巻するやきものの産地として現在でも伝統的な窯が残っています。その中でも今右衛門窯は鍋島藩御用赤絵師として、一般に使用される陶磁器とは別に、色鍋島と呼ばれる将軍家の献上品や上絵付にたずさわる栄誉ある窯です。現在は十四代目の当主となる今泉今右衛門氏もまた、優美な色鍋島の伝統を守り続けています。

今右衛門と並び賞される有田の名窯には柿右衛門窯があります。こちらは現在十五代目の酒井田柿右衛門氏が制作されていますが、乳白色の美しい余白に、鮮やかな花や果実などを描く、「柿右衛門様式」をベースに代々のデザイン性が変化をもたらしています。 一方の今右衛門窯は、色鍋島を基調に代々の当主がその時代時代を映し出しながら精巧な技術による崇高な品格jを求め、さらに斬新なデザインや意匠を取り入れることで、伝統を守るだけでなく常に革新の歴史を積み重ねて来ました。

特に先代の十三代今右衛門は、下絵付にて釉薬を霧吹きで素地に吹き付け絵付けをする藍色の「吹墨(ふきずみ)」や、墨色の「薄墨(うすずみ)」といった技法を色鍋島に用いて高い評価を得ました。そして、十四代を襲名した当代の今右衛門氏もまた、伝統を踏まえながらも新たなる作風を常に発表し、父子二代に亘る重要無形文化財「色絵磁器」保持者(人間国宝)に認定され、我が国の誇る技の伝承者として活躍されています。

十四代が襲名以来こだわり続ける技法は「墨はじき」です。もともと江戸時代から色鍋島の技法の一つとして使われてきた技法ですが、主に地紋という背景の部分などに使用された、どちらかといえば脇役の技法でしたが、十四代はそれを主役の技法として復活させました。黒色の絵具に浮かび上がる白い線。そして、敢えて白磁の生地の中に白の微妙な世界を創出する「雪花墨はじき」。まさに十四代の新しい感覚による仕事として新しい歴史を刻む作品が生まれました。

そして、現在十四代が取り組んでいることは、「墨色・藍色の中にたたずむプラチナ彩の風景」とのことです。何百回、何千回と試行錯誤を繰り返し、初めて発表されるであろう新しい「プラチナ彩」の表現はどんな作品となるのか、常に新しい挑戦を続ける今右衛門氏の新作にご注目ください。



動画解説:現代の色鍋島 今右衛門


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人間国宝 十四代 今泉今右衛門展

会期/5月17日(水)~23日(火)(最終日は午後5時閉場)
会場/日本橋三越本店 本館6階 美術特選画廊

三越伊勢丹 TOKYO ART LOUNGEでは、個展開催に先駆けて、出品予定の新作をご紹介致します。(ご予約にてお承り致します。作品のお渡しは展覧会終了後となります。)
また、当サイトでご予約いただきましても、店頭で売約済みとなっている場合もございますので、予めご了承ください。


十四代 今泉今右衛門 略歴

1962年 佐賀県有田町に生まれる
1985年 武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科(金工専攻)卒業 福岡 ニック入社
1988年 京都・鈴木治先生に師事
1990年 有田・父、十三代 今右衛門の許、家業に従事
1996年 日本伝統工芸展入選(〜2017)佐賀県美術展 知事賞受賞
一水会陶芸部展 一水会賞受賞(一九九六、一九九八)
㈶今右衛門古陶磁美術館の学芸員に就任
1997年 日本陶芸展入選(~2016)
出石 磁器トリエンナーレ受賞
西部工芸展 鹿児島放送局賞受賞
1998年 日本伝統工芸展 工芸会会長賞受賞 正会員に推挙される
佐賀銀行文化財団 新人賞受賞
佐賀新聞文化賞奨励賞受賞
2002年 十四代 今泉今右衛門を襲名
色鍋島今右衛門技術保存会会長となる
㈶今右衛門古陶磁美術館の館長に就任
一水会陶芸部展 会員優賞受賞
2003年 現代陶芸の華 招待出品(茨城県陶芸美術館)
2004年 日本伝統工芸展 東京都知事賞受賞
2007年 日本伝統工芸展 鑑査委員に推挙される
2008年 西日本陶芸美術展優秀賞受賞
MOA岡田茂吉賞 工芸部門優秀賞受賞
第二回智美術館大賞 現代の茶陶 招待出品
2009年 紫綬褒章受章
2010年 日本工芸会 理事に推挙される
2011年 日伊芸術交流祭 ラ・ルーチェ展招待出品(イタリア)
2012年 日本工芸会 西部支部の幹事長に推挙される
日本陶磁協会賞を受賞
2014年 有田陶芸協会会長へ就任
重要無形文化財「色絵磁器」保持者に認定

2016年 「革新の工芸-“伝統と前衛”、そして現代-」出品(東京国立近代美術館工芸館)
2017年 「現代の6作家による茶室でみる時期の現代」出品(根津美術館)
バカラとの共同作品を発表