三越伊勢丹 TOKYO ART LOUNGE

家族への愛を描く
ー想ー 宮北千織 日本画展

横山大観、菱田春草、平山郁夫…。日本画の巨匠の名前を並べるとずらりと、男性の名前が続きます。その中で、上村松園、小倉遊亀、片岡球子など女流作家もいますが、その数は男性とはくらべものになりません。
11月15日(水)より日本橋三越本店で、日本画壇で注目されている女流作家のひとり、宮北千織氏の個展を開催します。

宮北氏は、岡倉天心、横山大観や菱田春草が設立に携わった日本画団体、日本美術院に所属する作家。所属する作家は、公募展への入選回数などにより肩書がつきます。その中で、宮北さんは、トップの同人(どうにん)といわれる肩書をお持ちです(2007年任命)。
数多くの院展作家が育った、東京藝術大学美術学部絵画科日本画専攻を卒業し、そのまま大学院に進学します。修士課程修了の際には、その修了制作が大学に買い上げされるなど、学生時代より注目されていました。
宮北さんの作品からは、女性らしい透明感と温かさが感じられます。それは自身の姪をモデルにしているからこそ出てくるものです。
自分と同じ血をひくこどもが、この世に生まれてきてくれたことに感謝する気持ち。その子が元気に幸せな人生を歩んでほしいと思う気持ち。そして、純粋で無垢な女性に育ってほしいという気持ち。そうした深い愛情をこめて描かれたのが、氏の作品です。

その愛の深さは、作品の画材からも感じられます。
日本画は、自然の素材を使って描きます。
白い色は、胡粉(ごふん)といって、貝殻を、それ以外のものは、鉱物を、それぞれ細かく砕いたものを使います。これらは、顔料といいます。(日本画を近くでみると、表面が光っているように見えるのは、このためです。)
このままだと、画面に定着しません。動物性ゼラチンの「膠(にかわ)」で顔料を溶いて描くことで、作品が制作されるのです。
このような、岩絵具と膠を混ぜ合わせる作業は、描く人自身が行います。岩絵具や胡粉については、その粒の粗さが発色に結びつくので、どのくらいの粗さにするのか、ということが描き手の判断になるのです。
画材を作る過程で最も難しいとされるのが、顔料と膠を混ぜ合わせる工程です。そのバランスと、混ぜ具合が難しいのです。
自然の素材を用いるため、絶対的な比率がなく、経験が必要になります。

日本画を描くことが以前ほど身近でなくなった今日、日本画を志す学生であってもその画材に触れるのは、大学に進学してからがほとんどだと聞きます。そうした背景もあり、学部時代は感性を磨くことと同じくらい、画材に向き合うこととなります。
画材を準備するには、時間がかかります。その準備する時間にこそ、本当に表現したいことがまとまってくるのかもしれません。核心へと、描きたいことをそぎ落とす。その工程にもまた、愛情の深さを感じます。
そうしたそぎ落とされた核心を描いた作品だからこそ、観る者の心をとらえて離さない作品なのかもしれません。

ー想ー
宮北千織 日本画展

会期
11月15日(水)〜21日(火)(最終日は午後5時閉場)
会場
日本橋三越本店 本館6階 美術特選画廊

イベントのご案内

ギャラリートーク

2017年11月19日(日)午後2時〜 展覧会会場にて(入場無料・事前予約不要)

本件についてのお問い合わせ

大代表 03-3241-3311
日本橋三越本店 本館6階 美術フロア

三越伊勢丹 TOKYO ART LOUNGEでは、個展開催に先駆けて出品予定の新作をご紹介いたします。(ご予約にてお承りいたします。)
作品のお渡しは展覧会終了後となります。また当サイトでご予約頂きましても、店頭で既に売約済みとなっている場合もございます。予めご了承ください。

  • 画像:言祝ぎの歌

    言祝ぎの歌

    6号(縦 40.9cm × 横 31.8cm)

    1,296,000円(税込)

  • 画像:光の窓

    光の窓

    12号(縦 60.6cm × 横 45.5cm)

    2,592,000円(税込)

  • 画像:華 II

    華 II

    縦 160cm × 横 140cm

    9,720,000円(税込)

宮北千織(みやきた ちおり)/ 略年譜

昭和42(1967)年
東京都に生まれる
平成  4(1992)年
東京藝術大学美術学部絵画科日本画専攻卒業
卒業制作 サロン・ド・プランタン賞・台東区長賞
平成  6(1994)年
東京藝術大学大学院美術研究科修士課程日本画専攻修了
修了制作 同大学買上げ
修了制作模写 台東区買上げ
平成  7(1995)年
第10回 有芽の会 全国更生保護婦人連盟賞
平成  9(1997)年
東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程(日本画)満期退学
個展 博士課程研究発表展(同大学美術館)
平成10(1998)年
第13回 有芽の会 法務大臣賞
平成12(2000)年
第55回 春の院展 奨励賞('02年・'03年)
平成13(2001)年
第56回 春の院展 春季展賞
再興第86回 院展 奨励賞('03年)
平成14(2002)年
再興第87回 院展 日本美術院賞大観賞・足立美術館賞
文化庁現代美術選抜展
平成15(2003)年
第22回 日本美術院奨学金(旧•前田青邨賞)
平成16(2004)年
再興第89回 院展 日本美術院賞大観賞・天心記念茨城賞
平成19(2007)年
日本美術院同人推挙
平成23(2011)年
泉福寺天井画制作
平成26(2014)年
再興第99回 院展 文部科学大臣賞
平成27(2015)年
日光二荒山神社中宮祠神楽殿天井画制作
再興第100回 院展 内閣総理大臣賞
平成29(2017)年
日光二荒山神社干支絵馬制作
再興第102回 院展 足立美術館賞
現在
日本美術院同人 文星芸術大学教授