生産が追いつかない台湾発のウイスキー

〈カバラン〉と聞いてピンとくる方は、なかなかのウイスキー通だと思います。
〈カバラン〉は台湾の数少ない蒸溜所のひとつで、伊勢丹新宿店のグランドカーヴでの取り扱いも2014年の秋からと比較的最近のこと。
常時約1700種類以上のウイスキーを揃えるグランドカーヴでは新顔ともいえるのですが、その知名度は日を追って増していき、いまでは指名買いがあるほどです。
グランドカーヴでも三越伊勢丹限定を含め6〜7種類をラインナップするまでになっていますが、原材料(大麦)や樽の高騰の理由から取り扱い当初に比べ値段も上昇しています。
それでも〈カバラン〉は生産が追い付かないほどウイスキー通たちから熱い視線を注がれているのです。

これまでの常識を覆したウイスキー

ウイスキー産地として英国のスコットランドや日本でも北海道が有名なように、ウイスキーの熟成というと厳寒な地方をイメージする方がほとんだと思います。しかし〈カバラン〉の熟成地は夏になると気温が40℃近くにまでなるという台湾。樽での熟成時に年2〜3%が蒸発するというのが一般的とされるなかで、 〈カバラン〉のウイスキーは亜熱帯の暑さゆえに年15〜20%も蒸発するそうです。
これまでは「天使の分け前」と呼ばれるこの蒸発分が少なければ少ないほど品質の高いウイスキーだとされてきました。ですがこの常識を覆し、2010年にBritain on Burns Night 2010において〈カバラン〉が他の銘柄よりも高得点を獲得したことは、世界中のウイスキー関係者に大きな衝撃を与えました。

2012年にはイギリスでも名高い雑誌「ウイスキーマガジン」で世界の蒸留所トップ100に選ばれました。

ストレートでも余韻は甘く、まろやか

〈カバラン〉の味わいや風味を評するとき、多くの方は「甘く、まろやかで、飲みやすい」と口を揃えます。この飲みやすさが人気の要因かといえば必ずしもそうではなく、〈カバラン〉は純粋にシングルモルトとしてのクオリティの高さでファンを増やし続けています。
伊勢丹新宿店の和洋酒ウイスキーのバイヤーとして、ひとりのウイスキー好きとして〈カバラン〉に惚れ込む堀真也は「初めて口にする時はできればストレートで」と力説します。
ウイスキー特有の強さは最初だけで、ストレートでもスッと喉を通り、余韻としてひろがるのはふくよかな味と香り。かたわらにナッツチョコやドライフルーツでもあれば、このうえない幸せな時間が始まります。
ウイスキーの味を知っている人から選ばれている。それが〈カバラン〉です。

堀信也バイヤー
ナイトキャップに<カバラン>を愉しんでいる。